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トロンボーン楽譜KOOWDSEditionクーズエディション

大内邦靖 & KOOWS Edition

トロンボーン楽譜KOOWS Editionインタビュー
10月2日に新譜「碧と緑のファンファーレ」を出版した大内氏に、KOOWS Edition に対する想いを聞いてみました。

聞き手:WAVE 代表 鷹松 徹

鷹松:KOOWS Edition を出版しようとしたいきさつから聞かせてください。

大内:話せば長い話になるのですが(泣・笑)・・・
もう4年近く前(2003年1月)になるのですが、顔面神経麻痺(ベル麻痺)という病気を発症して顔の左半分が全く動かなくなってしまいました。トロンボーンが演奏できないばかりか、目も閉じなければ、水をふくむことすらできないような状態です。たった一晩でそうなってしまうのですから、恐ろしいですよね。
運悪く最も重度の症状で、「完治はあり得ない」と宣告されたときはさすがに泣けました。それから1年は日常生活すら不便の連続で、トロンボーンにはいっさい触りませんでした。でも1年を節目にまたバズィングから再スタートしたんです。
自由自在に動く右顔面と、まるで言うことをきかない左顔面とを同時に経験し、無くなってはじめて「在る」ことの意味やありがたさを実感しましたね。→

またこの時、“実際に在るもの”でも「在る」と意識しない物は「無い」のと同じだな・・・とも感じました。
顔の方は医者の宣告通りいまだ完治しているわけではありませんが、幸いトロンボーンの方はなんとか復帰することができ、かみさん(都響トロンボーン奏者 井口有里さん)や仲間たちと取り組んできた芸術活動も再開することができました。
そこで思ったのが、これまでに携わった名曲や取り組んできた創作活動も、自分の書庫の中だけにしまい込んでいたら「無い」のと同じだ・・・と。これらをなんとか「在る」という形にできないだろうか・・・多くの方々に「在る」ということを意識してもらえないだろうか・・・と考えたのが、KOOWS Edition の出発点です。
鷹松:大変な時期を過ごしてきた時に考えた事「在る」をKOOWS Edition に反映させたのですか? う〜ん、深いですね。
そんな思いを持って出版しているKOOWS Editionには当然「主旨」だとか「ポリシー」だとかお持ちなのでしょうね。

大内:そうですね。もちろんポリシーを持って制作しています。
そもそも、私や仲間達の芸術活動の副産物としての出版ですので、「うけの良い曲」や「流行りの曲」をアレンジして売ってゆこうという考えは無いんです。私が関わったり、取り組んだりした作品の中から、芸術的価値の高い(全くの私の主観による判断ですが)と思える物で、かつ、出版する意味のあるもののみを厳選して取り上げています。それは、ただ良い曲だというだけでなく、それぞれの楽器(特にトロンボーン)の基本的性能や音域、特性などにマッチした作品かどうかを厳しく吟味しているということです。↓

トロンボーン楽譜KOOWS Editionインタビュー2
鷹松:それでは今回出版された「碧と緑のファンファーレ」について聞かせてください。

トロンボーン楽譜KOOWS Editionインタビュー3

大内:ハイ。今年、静岡県の西伊豆町教育委員会さんとのご縁で、トロンボーンドュオのコンサートのお話しをいただいたときに、是非、そこで一曲オリジナルの新曲を加えたいなって思ったんです。私たち夫婦は静岡県出身という事もあり、よくこの地は訪れていて大好きな町でしたので、インスピレーションは即座に湧いてきました。
この地の美しい自然を表現する作品を書きたいと思い、「碧い海」と「緑の森」という対比を2本のトロンボーンに振り分け、それぞれに設けたテーマが最終的に夕焼けに融合していくというストーリーを組み立てました。そして、より具体的なイメージを想像してもらえるように、自然の音を背景に演奏できるようにしてみました。
一般の皆さんが、実際に2本のトロンボーンでステージに立つという機会はほとんど無いと思います。この作品も、実際にステージに上る機会はすくないでしょう。でも、練習室の中で、演奏しているご本人達が、自然の雰囲気やヴィジュアルのイメージを楽しんでもらうだけでも、とても楽しいんじゃないかなぁと思っています。技術的にも平易に書いてありますしね・・・。
鷹松:KOOWS Edition はユーザー登録制をとっていますね。著作権に関わる事だと思うのですが。

大内:最近は随分楽譜のコピーや著作権に関するモラルが高まってきましたが、一昔前は楽譜のコピーなんて当たり前!仕事で行ったオーケストラで、別の団体のハンコがついたコピー譜で演奏するなんてことは日常茶飯事でした。自分たちもかつてさんざんやってきました(笑)。KOOWS Edition を立ち上げて、逆の立場に立って初めて気がつきました。トロンボーン奏者の人口はとても小さなものですよね。そんな狭い世界の中でコピーが横行してしまったら出版元としては成り立たない。そうなると私自身も出版する事をやめてしまうのではないかと考えます。
そこでKOOWS Edition ではユーザー登録制度を採用して、買っていただいたユーザーさんに所有者・管理者の存在を明確にしていただこうと思ったのです。この楽譜を大事に管理してくださるというお約束のハンコのようなものですね。→

そのかわりユーザーさんには個人情報をお伺いするわけですから、私としては最大限のアフターフォローをさせていただこうと思っています。たとえば買っていただいた曲の演奏に関するご質問などもメールでお受けしたりしていますし、万が一楽譜に間違いが発見された場合は訂正のご案内をさしあげます。改訂版や新音源がでた場合にはサービスさせていただくこともあろうかと思います・・・。あっ そうそう、宣伝のダイレクトメールみたいな物は一切お送りしませんのでご安心ください。
「この曲良い曲だね。コピーさせて。」って言われたとき、とても断りにくいですよね。私自身もそうです。コピーを無くすには、コピーをださない口実をつくることも大事だと思っています。「この曲、ユーザー登録してるからコピー出すとまずいんだよね。」って言えれば随分助かるんじゃないでしょうか?高いお金を払って購入した楽譜は買ったご本人だけのものなのですから、その権利は守ってもらっていいと思うんです。
鷹松:それでは最後にKOOWS Edition の今後の展望と、大内さんご自身の演奏活動についてお聞きします。

大内:ここのところデュオをたくさん出したので、今度はソロ曲を充実させてゆきたいと考えています。すでに何曲か具体的にイメージしています。
それと私のKOOES Edition は音源も公開していますが、これには理由があります。私自身の経験から言って、どんな曲か分からないのにその楽譜は怖くて買えません。実際に楽譜だけを眺めていても、この曲がいったいどんな曲なのか分かるほどのソルフェージュ能力をお持ちの方がどれだけいらっしゃるでしょう。実際にその曲を知ってもらうには、聴いていただくのが一番。音源を聞いていただいて納得して買っていただく、という方法は今後も続けてゆきたいと思います。ただ、今後インターネット環境がもっと発達してくると楽譜や音源の配信の形態もかわってくるのかな?って感じています。→

トロンボーン楽譜KOOWS Editionインタビュー4

演奏活動としては、大掛かりで難曲を並べたものではなく、等身大のコンサートをやってゆきたいと思います。今年も地方都市数カ所で小さなコンサートをやってきましたが、是非多くの方に知っていただいて呼んでいただければうれしいですね。

2006/10/06取材